少年の主張②

私の大切な祭り

岐阜県・飛驒市立古川西小学校・六年 谷倉六花

この音を聞いたことはありますか。これは私が住んでいる古川町太江という地域で毎年四月二十八日に行われる祭りで使われる鐘の音です。私にとってこの鐘は、

「いよいよお祭りがはじまるな。」

と、気持ちが高まる特別な音です。

 太江は小さくて静かな町です。普段はとても落ち着いていてのんびりとした時間が流れています。でも、祭りになると町全体の雰囲気がガラッと変わり、子どもから大人までみんなの顔が明るくなり、町全体が一つになるような感じがします。私はこの空気が大好きです。なぜなら、みんなが笑顔になれるからです。

 私は、四年生から「闘鶏楽」という踊りに参加しています。参加しようと思ったきっかけは、姉が楽しそうに踊っているのを見てきたからです。「いつかはやってみたい!」と思っていました。でも、実際にやってみると想像以上に大変でした。祭りが近づくと毎週土日に練習があります。せっかくの休みなのに、夕方から練習があるので遊ぶ時間も少なくなってしまいます。踊りは体を大きく動かすのでとても疲れるし、動きも決まっているので覚えるのにとても時間がかかります。練習の時は何度も「休憩はまだかな…」と思います。休憩が終わって、

「はい、もう一回やるよ。」

と言われると、正直「まだやるの…」と思うこともあります。つらくて「もう嫌だなぁ」と思うことが何度もありました。見て楽しむ方がいいなぁと思ったことも何度もあります。それでも練習を頑張って、本番を迎えたときに、お父さんやお母さんが、

「よかったよ!」

と言ってくれたし、姉からも、

「かっこよかったよ!」

とほめてもらえてとてもうれしかったです。そして、何よりも地域の人たちが笑顔で「すごいね」「よかったよ」と言ってくれたのが、とてもうれしかったです。そのときに、「大変だったけど、やってよかったな」と心から思えました。今では、毎年この祭りに出るのを楽しみにしています。私にとって「またがんばろう」と思える大切な祭りです。

 でも、最近は少し心配なこともあります。それは、町には人が少なくなってきて、祭りに出る人も減ってきていることです。近くの町では、祭りを小さくしたところもあるそうです。中には、祭りをなくしたところもあると聞きました。そんな話を聞くとなんだかさみしい気持ちになります。祭りは、町のみんなが一つになって笑顔になれる大切な時間です。だから私は祭りをなくしたくありません。大変だけど続けていきたいと思っています。祭りを楽しく続けていくために、私たちにできることを考えていかなければなりません。例えば、学校や習い事で忙しくても練習にできるだけ参加すること。町を離れて暮らしている人に声をかけて一緒に祭りに出て楽しむこと。小さなことでもみんなで力を合わせて、いつまでも楽しめる祭りをどんどん続けていけたらいいと思っています。

 私はこれからも、祭りに参加して地域の人たちと一緒に祭りを盛り上げていきたいです。そして、いつか自分より年下の子たちに楽しい祭りを伝えていけたらいいなと思っています。この鐘の音が、毎年ずっと響き続けるように。